AGA治療とはどんなものなのか?

AGAが進行して、見た目には薄毛がかなり進んだ状態でも、毛穴は残っています。ただ、生えている毛が産毛のように細く、短く柔らかい毛なので、見た目に貢献できていないのです。

その原因は、前にもふれたとおり、ヘアサイクルの狂いにあり、この狂いを正せば再び太く、長い毛が育つようになります。この考え方が薄毛治療の大方針になります。

多くのAGA病院の治療方針のもとになっているガイドラインがあります。日本皮膚科学会が2010年に定めた男性型脱毛症の診療ガイドラインです。

このガイドラインでは、医学的エビデンスの有無、エビデンスの質の高低により、世間で広く行われている薄毛治療をAからCまで格付けしています。Aが最も推奨度の高い、確実な治療です。

ここで、推奨度Aに指定されたAGA治療薬を紹介します。

 

なお、この文章を書くときに参考にした資料を紹介します。

AGA治療の最前線

 

薄毛治療を一足飛びに進歩させたフィナステリド

フィナステリドはアメリカのメルクという製薬会社の開発した前立腺肥大症の治療薬でした。この薬の治療中に患者にひげや髪の毛の伸びてくる副作用が起きたため、発毛や育毛にも使われることになりました。

AGAは悪玉男性ホルモンであるDHTが男性ホルモンレセプターと結合することで発症しますが、このDHTを作り出す酵素、5α還元酵素に作用するのが、フィナステリドです。

フィナステリドは世界60か国以上でAGA治療薬として認可されているほど、その効果と安全性の認められた薬です。それまでは塗り薬全盛だった世の中に、初めて確実な効果をもたらしてくれる飲み薬が登場したという事で、この薬の登場は画期的でした。

 

日本の臨床試験の結果

日本での臨床試験では、被験者を無作為に3つのグループに分けました。フィナステリド1mgを1日1回飲むグループ、フィナステリド0.2mgを飲むグループ、そして、本物そっくりに似せたニセの薬を飲むグループです。試験期間は1年です。

結果は驚くべきものでした。写真による判定で何らかの改善が見られた人の割合は、0.2mgでは54%、1mgのグループでは58%に上りました。不変、つまり症状が進行していないとされた人たちはどちらも40%いましたので、AGAの進行を止めた人の割合は、0.2mgでも1mgでも9割を超えたことになります。

偽薬を飲んだグループで、「不変」が72%、AGAが進行してしまった人が22%だったことを考えると、明らかに効果が見て取れますね。

こうして、2005年の10月に厚生労働省の認可を受け、12月にプロペシアという名前で発売されました。

実は認可後も3年間の投与延長試験が行われましたが、改善の見られた割合は、2年後には68%、3年後には78%に増えました。AGAの進行が見られなかった人も含めると、実に98%の人に3年間の投与で効果がありました。

これによりフィナステリドはAGAの症状を食い止める効果がほぼ間違いなくあるという事が確認されました。

副作用も軽微なものにおさまりました。最も多いもので、男性機能の低下、性欲の減退が4~5%の割合で報告されましたが、どれも日常生活に支障をきたすほど重篤ではありませんでした。

この薬の注意点は、妊娠中の女性は服用してはいけないこと。胎児への悪影響の可能性があるためです。

 

世界で唯一の発毛薬ミノキシジル

こちらも薄毛治療薬として開発されたものではなく、元々高血圧を抑えるための薬でしたが、使用者に多毛などの症状がみられたことで転用されました。

毛細血管を開くことで、頭皮の毛根などにも栄養が豊富に運ばれることになります。これで毛包や毛母細胞が活性化された、発毛活動に結び付くと考えられています。

日本でこの成分が最初に認可されたのは大正製薬のリアップという市販の育毛剤です。1999年の事でした。現在ではミノキシジルが5%配合されているものも発売され、こちらの濃度の方が高い効果があります。

なお、市販の育毛剤としては塗り薬しかありませんが、AGA病院に行くと内服薬を処方してもらえます。ミノキシジルの内服薬は日本では血圧の薬としても未認可ですので、その処方は完全に医師の責任においてなされていますが、その安全性の高さから、多くのAGA病院で処方されています。